ったら千円ぐらいはくれても当然《あたりめえ》だ」
春「金は遣《や》るから預り証書を出したまえよ」
又「無いよ、どうせ人を害せば斬罪《ざんざい》だ、僕が証書を持ってゝ自訴《じそ》すれば一等は減じられるが、君は逃《のが》れられんさ、宜《よろ》しいやねえ、まア宜《い》いから心配したもうな」
春「出さんなら千円やらんよ」
又「だって無いよ、さア見たまえ」
と最前《さいぜん》預かり証書は饂飩粉《うどんこ》の中へ隠しましたゆえ平気になり、衣物《きもの》をぼん/\取って振《ふる》い、下帯《したおび》一つになって。
又「此の通り有りゃアしない、宅《うち》も狭いから何処《どこ》でも捜して見たまえ」
と云われ春見も不思議に思い、あの証書を他《ほか》へ預けて金を借《かり》るような事は身が恐いから有るまいが、畳の下にでも隠して有ろうも知れぬから、表へ出してやって、後《あと》で探《さが》そうと思い。
春「まア宜《よ》い、仕方がないが、斯《こ》う家鴨《しゃも》ばかりでは喰えねえ、向河岸《むこうがし》へ往って何か肴《さかな》を取って来たまえ」
と云いながら、懐中から金を一円取出して又作の前へ置く。
又「これは
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