か、又お参りにいらっしゃって、間《ま》さえあれば毎日でも首尾《しゅび》を見て此処《こゝ》にいますから、時々逢って上げて下さいよ、どうも素気《そっけ》ないことねえ、表は人が通りますから、裏からいらっしゃいまし、左様なら」
 と重二郎は宅《うち》へ帰りまして、母にも姉にも打明けて云われず、と云って問われた時には困りますから、其の指環を知れないように蔵《しま》う処はあるまいかと考え、よし/\と云いながら紙へくるんで腹帯《はらおび》の間《あいだ》へ挟《はさ》んで[#「挟んで」は底本では「狭んで」と誤記]、時節を待ち、真実なおいさと夫婦になろうと思うも道理、二十三の水の出花《でばな》であります。お話変って、十二月五日の日暮方《ひくれがた》、江戸屋の清次が重二郎の居ります裏長屋の一番奥の、小舞《こまい》かきの竹と申す者の宅《たく》へやってまいり、
清「竹、宅《うち》か」
竹「やア兄い、大《おお》きに御無沙汰をして、からどうも仕様がねえ、貧乏|暇《ひま》なしで、聞いておくんねえ、此間《こねえだ》甚太《じんた》ッぽうがお前《めえ》さん世話アやかせやがってねえ、からどうも喧嘩《けんか》っ早《ぱえ》いもん
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