でに思ってくれるかと嬉しく思い、重二郎も又おいさの手をじっと握りながら、
重「おいさゝん、今|仰《おっ》しゃった事がほんとうなら飛立《とびた》つ程嬉しいが、只今も申す通り、私《わし》は今じゃア零落《おちぶ》れて裏家住《うらやずま》いして、人力を挽《ひ》く賤《いや》しい身の上、お前さんは川口町であれだけの御身代のお嬢様釣合わぬは不縁の元、迚《とて》もお父《とっ》さんが得心して女房《にょうぼ》にくれる気遣《きづか》いもなければ、又私が母に話しても不釣合《ふつりあい》だから駄目だと云って叱られます、姉も堅いから承知しますめえ、と云って親の許さぬ事は出来ませんが、あなたそれ程まで思ってくださるならば、人は七転《ななころ》び八起《やお》きの譬《たとえ》で、運が向いて来て元の様《よう》になれんでも、切《せ》めて元の身代の半分にでも身上《しんしょう》が直ったらおいささん、お前と夫婦に成りましょう、私も女房を持たずに一生懸命に稼《かせ》ぎやすが、貴方《あなた》も亭主を持たずに待って居てください」
い「本当に嬉しゅうございます、私《わたくし》は一生奉公《いっしょうぼうこう》をしても時節を待ちますから、お
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