《は》めなすって、そうして貴方の指環を私《わたくし》にくださいまし、あなた若《も》し嵌めるのがお厭《い》やなら蔵《しま》って置いてくださいまし、私は何も知りませんが、西洋とかでは想った人の指環を持って居《お》れば、生涯其の人に逢う事がなくても亭主と思って暮すものだと申します、私はほんとうに貴方を良人《おっと》と思って居りますから、どうぞこれを嵌めてください」
と恥かしい中から一生懸命に慄《ふる》えながら、重二郎の手へ指環を載せ、じっと手を握りましたが、此の手を握るのは誠に愛の深いもので、西洋では往来で交際の深い人に逢えば互《たがい》に手を握ります、追々《おい/\》開《ひら》けると口吸《こうきゅう》するようになると云いますが、是は些《ち》と汚《きたな》いように存じますが、そうなったら圓朝などはぺろ/\甞《な》めて歩こうと思って居ります。今おいさにじっと手を握られた時は、流石《さすが》に物堅き重二郎も木竹《きたけ》では有りませんから、心嬉しく、おいさの顔を見ますと、蕾《つぼみ》の花の今|半《なか》ば開《ひら》かんとする処へ露《つゆ》を含んだ風情《ふぜい》で、見る影もなき重二郎をば是ほどま
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