りでございますが、お母《っか》さまが長い間お眼が悪く、貴方《あなた》も御苦労をなさいますと承わりましたから、お足《た》しになるようにと思いますが、思うようにも行届《ゆきとゞ》きませんが、これでどうぞ何かお母さんのお口に合った物でも買って上げて下さいまし、ほんの少しばかりでございますが、お見舞の印《しるし》にお持ちなすって下さいまし」
重「へい/\此間《こないだ》はまア三円戴き、それで大《おお》きに私《わし》も凌《しの》ぎを附けやしたが又こんなに沢山金を戴いては私済みやせんから、これを戴くのは此間の三円お返し申した上のことゝ致しましょう」
い「そんなことを仰しゃいますな、折角持って来たものですからどうか受けてください、お恥かしい事でございますが、私《わたくし》は貴方《あなた》を心底《しんそこ》思って居りまして済みません、あなたの方《ほう》では御迷惑でも、それは兼が宜《よ》く存じて居ります、此の間《あいだ》お別れ申した日から片時《かたとき》も貴方の事は忘れません」
 と云いながら指環《ゆびわ》を抜取りまして、重二郎の前へ置き。
い「これは詰らない指環でございますが、貴方《あなた》どうぞお嵌
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