まし、どうぞ/\此方へ」
重「此間《こないだ》は私《わし》お宅《たく》へ出やした時、あなたが可愛相《かわいそう》だと云って金をお恵み下され、早速《さっそく》お返し申そうと思いましたが、いまだにお返《けえ》し申す時節がまいりません、どうか遅くも押詰《おしつま》りまでには御返金致します心持ちで、お礼にも出ませんでした」
い「此間《こないだ》は折角お出《い》で遊ばしましたが、父はあの通り無愛相《ぶあいそう》ものですからお前さんにお気の毒な、まア素気《そっけ》ない事を申しましたから嘸《さぞ》お腹が立ちましたろうと、実は蔭《かげ》でお案じ申して居りましたが、今日は貴方《あなた》が薬師様へお参りに入《いら》っしゃるという事を聞きましたから、兼《かね》と二人で、のう兼」
兼「本当でございますよ。お嬢様が貴方のことを案じて、何《ど》うかして何処《どこ》かでお目にかゝりたいもんだが、何うしたら宜《よ》かろうかといろ/\私にお聞きなさいますから、私も困りましたが、貴方のお宅の近所で聞いたら、貴方は間《ま》さえあれば薬師様へお参りにいらっしゃるとの事ゆえ、今日は貴方のお参りにいらっしゃるお姿をちらりと見まし
前へ
次へ
全151ページ中103ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング