斯《こ》うふい[#「ふい」に傍点]と何処《どこ》かへ行って仕舞《しまお》うかと思って、それには下総に些《すこし》の知己《しるべ》が有りますから其処《そこ》へ行《ゆ》こうかと思うので」
 久「おやお前さんの田舎はあの下総なの」
 新「下総と云う訳じゃアないが些《ちっ》と知って居る……伯母さんがあるので」
 久「おやまあ。私の田舎も下総ですよ」
 新「ヘエお前さんの田舎は下総ですか、世には似た事があるものですね、然《そ》う云えば成程お前さんの処の屋号《いえな》は羽生屋と云うが、それじゃア羽生村ですか」
 久「私の伯父さんは三藏《さんぞう》と云うので、親父は三九郎と云いますが、伯父さんが下総に行って居るの、私は意気地《いくじ》なしだから迚《とて》も継母の気に入る事は出来ないけれども、余《あんま》りぶち打擲《ちょうちゃく》されると腹が立つから、私が伯父さんの処《とこ》へ手紙を出したら、そんな処に居らんでも下総へ来てしまえと云うから、私は事によったら下総へ参りたいと思います」
 新「ヘエ然《そ》うでございますか、本当に二人が情夫《いろ》か何かなれば、ずうっと行くが、何《なん》でもなくっては然《そ
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