》めて」
女「ハイ御用があったらお手を、此の開きは内から鎖鑰《かきがね》が掛りますから」
新「お前さんとさし[#「さし」に傍点]で来たから、女がおかしいと思って内から鎖鑰が掛るなんて、一寸*たかいね、お久さん何処へ」
*「たかい目が高いの略」
久「日野屋へ来たの」
新「あ然《そ》う/\、此の間はお気の毒様で、お母《っか》さんのお耳へ這入ったら嘸《さぞ》怒りなさりやアしないかと思って大変心配しましたが、師匠は彼《あ》の通り仕様がないので」
久「何《ど》うも私共の母なども然《そ》う云っておりますよ、お師匠さんがあんな御病気になるのも、やっぱり新吉さん故だから、新吉さんも仕方がない、何様《どんな》にも看病しなければならないが、若いから嘸お厭《いや》だろうけれども、まアお年に比《あわ》しては能《よ》く看病なさるってお母《っか》さんも誉めて居ますよ」
新「此方《こっち》も一生懸命ですがね、只煩って看病するばかりならいゝけれども、何うも夜中に胸倉を取って、醜《いや》な顔で変な事を云うには困ります、私は寝惚《ねぼけ》て度々《たび/\》恟《びっく》りしますから、誠に済まないがね、思い切って
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