ごもくずし》へ引張《ひっぱ》り込むと、鮨屋でもさし[#「さし」に傍点]で来たから訝《おか》しいと思って、
 鮨「いらっしゃい、お二階へ/\、あの四畳半がいゝよ」
 と云うのでとん/\/\/\と上《あが》って見ると、天井が低くって立っては歩かれません。
 新「何《なん》だか極りが悪うございますね」
 久「私は何《ど》うも思いません、お前さんと差向いでお茶を一つ頂く事も出来ぬと思って居ましたが、今夜は嬉しゅうございますよ」
 新「調子のいゝことを」
 女「誠に今日《こんにち》はお生憎《あいにく》様、握鮓《にぎり》ばかりで何《なん》にも出来ません、お吸物も、なんでございます、詰らない種でございますから、海苔《のり》でも焼いて上げましょうか」
 新「あゝ海苔で、吸物は何か一寸|見計《みはから》って、あとは握鮓がいゝ、おい/\、お酒は、お前いけないねえ、しかし極りが悪いから、沢山は飲みませんが、五勺《ごしゃく》ばかり味醂《みりん》でも何でも」
 女「畏《かしこ》まりました、御用がありましたらお呼びなすって、此処《こゝ》は誠に暗うございますが」
 新「何ようございます、其処《そこ》をぴったり〆《し
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