稽古が好きで、閑《ひま》の時は、水を汲みましょうお湯を沸《わか》しましょうなどと、ヘエ/\云ってまめに働きます。年二十一でございますが、一寸|子※[#「てへん+丙」、第4水準2−13−2]《こがら》の好《よ》い愛敬のあると云うので、大層師匠の気に入り、其の中《うち》に手少なだから私の家《うち》に居て手伝ってと云うと、新吉も伯父の処に居るよりは、芸人の家《うち》に居るのは粋《いき》で面白いから楽《たのし》みも楽みだし、芸を覚えるにも都合がいゝから、豊志賀の処へ来て手伝いをして居ります。其の年十一月二十日の晩には、霙《みぞれ》がバラ/\降って参りまして、極《ごく》寒いから、新吉は食客《いそうろう》の悲しさで二階へ上《あが》って寝ますが、五布蒲団《いつのぶとん》の柏餅《かしわもち》でもまだ寒いと、肩の処へ股引などを引摺込《ひきずりこ》んで寝まするが、霙はざあ/\と窓へ当ります。其の内に少し寒さが緩《ゆる》みましたかして、夜《よ》が更けてから雨になりまして、どっとと降って参ります。師匠は堅いから下に一人で寝て居りますが、何《なん》だか此の晩は鼠がガタ/\して豐志賀は寝られません。
豐「新吉さ
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