ん/\」
新「ヘエ何《なん》でげすね」
豐「お前まだ眼が覚めていますかえ」
新「ヘエ、私はまだ覚めて居ります」
豐「そうかえ私も今夜は何だか雨の音が気になって少しも寝られないよ」
新「私も気になって些《ちっ》とも寝られません」
豐「何だか誠に訝《おか》しく淋しい晩だね」
新「ヘエー訝しく淋しい晩でげすね」
豐「寒いじゃアないか」
新「何だかひどく寒うございますね」
豐「なんだね同じ様なことばかり云って、誠に淋しくっていけない、お前さん下へ下りて寝ておくれな、どうも気になっていけないから」
新「そうですか、私も淋しいから下へ下りましょう」
と五布蒲団と枕を抱えて、危い階子《はしご》を下りて来ました。
豐「お前、新吉さん其方《そっち》へ行って柏餅では寒かないかえ」
新「ヘエ、柏餅が一番|宜《い》いんです、布団の両端《りょうはじ》を取って巻付けて両足を束《そく》に立って向《むこう》の方に枕を据《す》えて、これなりにドンと寝ると、好《い》い塩梅に枕の処へ参りますが、そのかわり寝像《ねぞう》が悪いと餡《あん》がはみ出します」
豐「お前寒くっていけまい、斯《こ》うして
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