になっているから、此の物干伝いに伝わって行《ゆ》けば、何処《どこ》へか逃げられるとは思ったが、なか/\油断は出来ませんから、長物《ながもの》を抜いて新五郎が度胸をすえ、小窓から物干へ這出して来ます。すると捕手《とりて》の方も手当は十分に附いているから、もし此の窓から逃出したら頭脳《あたま》を打破《うちわ》ろうと、勝藏《かつぞう》と云う者が木太刀《きだち》を振上げて待って居る所へ、新五郎は斯《こ》う腹這《はらばい》になって頸《くび》をそうッと出した。すると、
勝「御用だ」
ピューッ[#「ピューッ」は底本では「ピュッー」]と来るやつを、身を退《ひ》き身体を逆に反《かえ》して、肋《あばら》の所へ斬込んだから、勝藏は捕者は上手だが物干から致してガラ/\/\どうと転がり落ちる。其の間に飛下りようとする。所が下には十分手当が届いているから下りる事が出来ません。すると丁度隣の土蔵が塗直しで足場が掛けてあって笘《とま》が掛っているから、それを潜《くゞ》って段々参ると、下の方ではワア/\と云う人声《ひとごえ》、もう然《そ》うなると、人が十人居ても五十人も居る様に思われますから、新五郎は窃《そっ》と音
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