らズンと金太郎の額へ突掛《つっか》けたから、
金「アッ」
と後《あと》へ下《さが》って傷口を押えると、額から血がダラ/\流れて真赤になり、真実《ほんとう》の金太郎の様になります。続いて逃《にげ》たらと隠れていた捕者の上手な富藏《とみぞう》と云う者が、
富「神妙にしろ、御用だ」
と十手を振上げて打って掛るやつを取って抉《えぐ》ったから、ヒョロ/\とひょろついて台所の竈《へっつい》でボッカリ膝を打って、裏口へ蹌踉《よろけ》出したから、しめたと裏口の戸をしめ、辛張《しんばり》をかって置いて表を覗《のぞ》くと人が居る様子だから、確《しっか》り鑰《かきがね》を掛けて燈光《あかり》を消し、庖丁の先で箪笥の錠をガチ/\やって漸《ようや》く錠を明け、取出した衣類を身に纒《まと》い、大小を差して、サア出ようと思ったが、迚《とて》も表からは出られませんから、屋根伝いにして逃げようと、階子《はしご》を上《あが》って裏手の小窓を開けて見ると、ずうっと棟割《むねわり》長屋になって物干が繋《つな》がって居て、一軒|毎《ごと》に一間ばかりの丸太がありそれへ小割《こわり》が打って物干竿《ものほしざお》の掛る様
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