ょ》の袋を忘れた」
 と云いながら新五郎の受取《うけとり》に来る処を飛上って、
 金「御用だ神妙にしろ」
 と手を取って逆に捻伏《ねじふ》せられたから起《おき》る事が出来ません。

        十四

 金「手前《てめえ》は深見新五郎だろう、谷中の下總屋でお園を殺し、主人の金を百両盗んで逐電した大泥坊め」
 新「イヤ手前は左様なものではござらん」
 とは云ったが、あゝ残念なことをした、それでは此処《こゝ》の女房もぐる[#「ぐる」に傍点]であったと見える、刃物を仕舞われたから是はもう迚《とて》も遁《のが》れぬ。と思いました。いゝ悪党なれば、斯《こ》う云う時の為に懐にどす[#「どす」に傍点]といって一本|匕首《あいくち》をのんで居るが、それ程商売人の泥的《どろてき》ではありませんから、用意をいたしておりません。もう天命|究《きわ》まったと思うと、一寸指の先へ障りましたのは、先刻《さっき》ふと女房に聞いた柿の皮を剥く庖丁と云う鯵切《あじきり》の様な物が、これが手に障ったのを幸《さいわい》と、
 新「左様な覚《おぼえ》はない、人違《ひとちがい》でござる」
 と云って、起上《おきあが》りなが
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