のしない様に笘を潜り抜けて、段々横へ廻って参り、此の空地《あきち》へ飛下り、彼方《あちら》の板塀を毀《こわ》して、向《むこう》の寺へ出れば逃《のが》れられようと思い、足場を段々に下りまして、もう宜《よ》かろう、と下を見ると藁《わら》がある。しめたと思ってドンと其処《そこ》へ飛下りると、
 新「ア痛タ……」
 と臀餅《しりもち》をつく筈《はず》です、其の下にあったのは押切《おしぎり》と云う物で、土踏まずの処を深く切込みましたから、新五郎ももう是までと覚悟しました。跛《びっこ》になっては、迚《とて》も遁《のが》れる事も出来ませんから、到頭《とうとう》縄に掛って引かれます。
 新「あゝ因縁は恐しいもの、三年|跡《あと》にお園を殺したも押切、今又押切へ踏掛けてそのために己《おれ》が縄に掛って引かれるとは、お園の怨《うらみ》が身に纒《まと》って斯《かく》の如くになること」
 と実に新五郎も夢の覚めた様になりましたが、是が丁度三年目の十一月二十日、お園の三回忌の祥月命日《しょうつきめいにち》に、遂に新五郎が縄目に掛って南の御役宅へ引かれると云う、是より追々怪談のお話に相成ります。

       
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