、定かには分りませんが、側にある※[#「くさかんむり/切」、第3水準1−90−71]《すさ》が真赤に血だらけ、
 新「何うしたのか」
 と思って起上ろうとすると、苦し紛れに新五郎の袖に手をかけ、しがみ付いたなりに、新五郎と共にずうッと起《おき》たのを見ると真赤、
 新「お園どん何うしたのだえ」
 と襟《えり》に手をかけて抱起《だきおこ》すと、情《なさけ》ないかな下にあったのは※[#「くさかんむり/切」、第3水準1−90−71]《すさ》を切る押切《おしきり》と云うもの、是は畳屋さんの庖丁を仰向《あおむけ》にした様な実に能《よ》く切れるものでございますが、此の上へお園の乗った事を知らずに、男の力で、大声を立てさせまいと思い、口を押えてグックと押すから、お園はお止しよ/\と身体を※[#「足へん+宛」、第3水準1−92−36]《もが》くので、着物の上からゾク/\肋《あばら》へかけて切り込みましたから、お園は七転八倒の苦しみ、其の儘息の絶えたのを見て、新五郎は、
 新「アヽ南無阿弥陀仏/\/\、お園どん堪忍しておくれ、全くお前と私は何たる悪縁か、お前が厭がるのを知りながら私が無理無体な事を云いか
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