上げて来るところを、グッとコロップを詰めると、出ようと云う念をぴったりおさえてしまう。アルコール漬だから形は残って居ても息は絶えて死んで居るのだが、それを二年|許《ばか》り経って壜の口をポンと抜いたら、中から蛇がずうッと飛出して、栓を抜いた方の手頸《てくび》へ喰付いたから、ハッと思うと蛇の形は水になって、ダラ/\と落《おち》て消えたが、是は蛇の幽霊と云うものじゃ。と仰しゃりました。併《しか》し博識《ものしり》の仰しゃる事には、随分|拵事《こしらえごと》も有って、尽《こと/″\》く当《あて》にはなりませんが、出よう/\と云う気を止めて置きますと、其の気というものが早晩《いつか》屹度《きっと》出るというお話、又お寺様で聞いて見ますると気息《いき》が絶えて後《のち》形は無いが、霊魂と云うものは何処《どこ》へ行《ゆ》くか分らぬと申すこと、天国へ行《ゆ》くとか地獄極楽とか云う説はあっても、まだ地獄から郵便の届いた試しもなし、又極楽の写真を見た事もございませんから当にはなりませんが、併し悪い事をすると怨念《おんねん》が取付くから悪事はするな、死んで地獄へ行《ゆ》くと画《え》の如く牛頭《ごず》馬頭《
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