たが、
外「私は日本の語にうといから通弁から聞いて呉れ」
と云う。私《わたくし》も洋語は知りませんから通弁さんに聞くと、通弁さんの云うに、
通「お前の宅《うち》にこれだけの幽霊の掛物を聚《あつ》めるには、幽霊というものが有るか無いかを確《しか》と知っての上でかように聚めたのでございましょう」
と云う問《とい》でございました。所が有るか無いかと外国人に尋ねられて、私《わたくし》も当惑して、早速に答も出来ませんから、
圓「日本の国には昔から有るとのみ存じていますから、日本人には有るようで、貴方のお国には無いと云うことが学問上決して居るそうですから無いので、詰り無い人には無い有る人には有るのでございましょう」
と、仕方なしに答えましたが、此の答は固《もと》よりよろしくない様でございますが、何分無いとも有るとも定めはつきません。先達《せんだって》ある博識《ものしり》先生に聞きますと
「幽霊は有るに違い無い、現在僕は蛇の幽霊を見たよ」
と仰しゃるから、
圓「どういう訳か」
と聞くと、蛇を壜《びん》の中へ入れてアルコールをつぎ込むと、蛇は苦しがって、出よう/\と思って口の所へ頭を
前へ
次へ
全520ページ中57ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング