が婦人と通弁が附いて三人でお出《いで》になりまして、それは粋《いき》な外国人で、靴を穿いて来ましたが、其の靴をぬいで隠《かくし》から帛紗《ふくさ》を取出しましたから何《なん》の風呂敷包かと思いますと、其の中から上靴を出してはきまして、畳の上へ其の上靴で坐布団の上へ横ッ倒しに坐りまして、
外「お前の家《うち》に百|幅《ぷく》幽霊の掛物があるという事で疾《とく》より見たいと思って居たが、何卒《どうぞ》見せて下さい」
という事。是は私《わたくし》がふと怪談会と云う事を致した時に、諸先生方が画《か》いて下すった百幅の幽霊の軸がございますから、是を御覧に入れますと、外国人の事でございますから、一々是は何《なん》という名で何という人が画いたのかと云う事を、通弁に聞いて手帖に写し、是《こ》れは巧《うま》い、彼《あ》れは拙《まず》いと評します所を見ると、中々眼の利いたもので、丁度其の中で眼に着きましたのは菊池容齋《きくちようさい》先生と柴田是眞《しばたぜしん》先生の画いたので、是は別して賞《ほ》められました。そのあとで茶を点《い》れて四方八方《よもやま》の話から、幽霊の有無《ありなし》の話をしまし
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