、けれども私を憫然《かわいそう》と思って、一晩お前の床の中へ寝かしておくんなさいよ、エお園どん」
園「アラ厭《いや》なネ、私とお前さんと寝れば、人が色だと申します」
新「イヽエ私もそれが知れゝば失敗《しくじ》って此家《こゝ》には居られないから、唯|一寸《ちょっと》並んで寝るだけ、肌を一寸|触《ふれ》てすうっと出ればそれで断念《あきら》める、唯ごろッと寝て直ぐに出て行《ゆ》くから」
園「そんな事を云ってごろりと寝て直ぐに出て行《い》くったって、仕様がないねえ、行って下さいよ」
新「そんな事を云わずに」
園「いやだよ、新どん」
新「お願いだから」
園「お願いだって」
新「ごろり一寸寝るばかりだ、永らく寝る目も寝ずに看病したろうじゃアないか、其の義理にも一寸枕を並べて、直ぐに出て行《ゆ》くから」
園「仕様がございませんね」
と云うが、永らく看病してくれた義理があってみれば無下《むげ》に振払う事も出来ず、
園「新どん唯一寸寝る許《ばか》りにしておくんなさいよ」
新「アヽ一寸一度寝るばかりでも結構、半分でもよろしい」
と云うのでお園の床へ這入りますると、お園は厭だからぐ
前へ
次へ
全520ページ中53ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング