溜った雨水が固まってダラ/\と落《おち》て参って、一角の持っていた火縄に当って火が消えたから、一角は驚いて逃げにかゝる処を、花車は火が消えればもう百人力と、飛び込んで無茶苦茶に安田一角を打据《うちす》えました、これを見た悪漢《わるもの》どもは「それ先生が」と駈出して来ましたが側へ進みません、花車は傍《かたえ》を見向き、
 花「此の野郎共|傍《そば》へ来やアがると捻《ひね》り潰すぞ」
 という勢いに驚いて樹立《こだち》の間へ逃げ込んで仕舞いました。
 花「サア惣吉|様《さん》遣ってお仕舞いなせえ、多助|様《さん》、お前助太刀じゃアねえか確《しっか》りしなせえ」
 惣吉は走り寄り、
 惣「関取誠に有難う、此の安田一角め兄《あに》さん姉《あね》さんの敵思い知ったか」
 多「此の野郎助太刀だぞ」
 と惣吉と両人《ふたり》で無茶苦茶に突くばかり、其のうち一角の息が止ると、二人共がっかりしてペタ/\と坐って暫らくは口が利けません。花車は安田一角の髻《たぶさ》を取り、拳を固めてポカ/\打ち、
 花「よくも汝《われ》は恩人の旦那様を斬りやアがった、お隅|様《さん》を返討《かえりうち》にしやアがったな此
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