にて、己の名を知っているのは何奴《なにやつ》か、事に依ったら、花車が来たかも知れないと思うから、油断は致しませんで、大刀《だいとう》の目釘を霑《しめ》し、遠くに様子を伺って居りますと、子分がそれへ出て、
甲「やい手前《てめえ》は何者だ」
九十七
花「いえ私《わし》は花車重吉という相撲取でございますが、先生《しぇんしぇい》は立派なお侍さんだから、逃げ隠れはなさるまい、慥《たし》かに此処《こゝ》にいなさる事を聞いて来たんだから、尋常に此の惣吉様の兄《あに》さんの敵と名のって下せい、討つ人は十二三の小坊主|様《さん》だ、私は義に依って助太刀をしに参ったものだから、何十人でも相手になるから出てお呉んなせい」
といわれ、悪漢《わるもの》どもは、あゝ予《かね》て先生から話のあった相撲取は此奴《こいつ》だなと思いましたから、直《すぐ》に一角の前へ行きまして此の事を告げました。一角も最早観念いたしておりまするから、
安「そうか、よい/\、手前達先へ出て腕前を見せてやれ」
といわれ、悪漢どもも相撲取だから力は強かろうが、剣術は知るめえから引包《ひっつゝ》んで餓鬼諸共打ってし
前へ
次へ
全520ページ中515ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング