っていると思いますから、敵を討って罪作りを致しますようでございますけれども、どうか両人《ふたり》の怨みを晴して遣り度《と》うございます」
道「それがいかん、それは貴様の念が断《き》れんからじゃ、平常《ふだん》敵を討ち度《た》い、兄さんは怨んではせんか、姉さんも怨んではせんか、と思う念が重なるに依って夢に見るのじゃ、それを仏書に睡眠と説いて有る、睡は現《うつゝ》眠はねむる汝《てまい》は睡《ねむ》ってばかり居るから夢に見るのじゃ、敵討の事ばかり思うているから、迷いの眠りじゃ、それを避ける処が仏の説かれた予《かね》ていう教えじゃ、元は何も有りはせんものじゃ、真言の阿字を考えたら宜《よ》かろう、此の寺に居て其の位な事を知らん筈は無いから諦めえ」
宗「ハイ、何《ど》うしても諦められません、永らく御厄介に成りまして誠に相済みません、敵討を致した上は出家に成りませんでも屹度《きっと》御恩報じを致しますから、どうかお遣んなすって下さいまし、強《た》って遣って下さいませんければお寺を逃出し黙って羽生村へ帰ります」
道「いや/\そんならば無理に止めやせん、皆因縁じゃからそれも宜かろう、やるが宜かろう
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