あい……もっと火を入れて上げようかえ」
宗「ナニ火はもういゝが、追々押詰るから、小日向《こびなた》の方へ催促に行こうと思うのだが、又出て行《ゆ》くのはおっくう[#「おっくう」に傍点]だから、牛込《うしごめ》の方へ行って由兵衞《よしべえ》さんの処《とこ》へも顔を出したいし、それから小日向のお屋敷へ行ったり四ツ谷へも廻ったりするから、泊り掛《がけ》で五六軒|遣《や》って来ようと思う、牛込は少し面倒で、今から行っちゃア遅いから明日《あした》行く事にしようと思うが、小日向のはずるいから早く行かないとなあ」
志「でもお父《とっ》さん本当に寒いよ、若《も》し降って来るといけないから明日早くお出でなさいな」
宗「いや然《そ》うでない、雪は催して居てもなか/\降らぬから、雪催しで些《ちっ》と寒いが、降らぬ中《うち》に早く行って来よう、何を出してくんな、綿の沢山はいった半纒《はんてん》を、あれを引掛《ひっか》けて然うして奴《やっこ》蛇の目の傘を持って、傘は紐を付けて斜《はす》に脊負《しょ》って行くようにしてくんな、ひょっと降ると困るから、なに頭巾をかぶれば寒くないよ」
志「だけれども今日は大層遅
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