変な事ばかりいって、少したじれ[#「たじれ」に傍点]た様子だが、何《な》んだって科《とが》もないお賤を此の鎌で殺すと云う了簡になったのだねえ、確《しっ》かりしないじゃいけないよ」

        九十三

 新「いえ/\決して気は違いません、正気でございますが、お比丘さん、お賤も私《わっち》も斯《こ》う遣って居られない訳があるのでございます、お賤|汝《てめえ》は己を本当の亭主と思ってるが、汝は定めて口惜しいと思うだろうが、汝一人は殺さねえ、汝を殺して置き、己も死なねばならぬ訳があるんだ、汝は知るめえが、あゝ悪い事は出来ねえものだ、此の庵室へ来た時にはお前さんの懴悔話を聞くと若《わけ》え時に小日向服部坂上の深見という旗下へ奉公して、殿の手がついて出来たのがお賤だと仰しゃったが、私《わたし》も其の深見新左衞門の次男に生れ、小さい時に家は改易と成ったので町家《ちょうか》で育ったもの、腹は違えど胤《たね》は一つ、自分の妹とも知らないで七年跡から互に深く成った畜生同様の両人《ふたり》、此の宗觀|様《さん》のお父様《とっさん》は羽生村の名主役で惣右衞門というお方でしたが、お賤を深川から見受けして
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