ございますから、心嬉しくずか/\と出て来ました。
 新「お賤、此処《こゝ》においでなさるお小僧さんの顔を汝《てめえ》見覚えて居るか」
 と云われお賤はけゞんな顔をしながら、
 賤「そう云われて見ると此のお小僧さんは見た様だが何《な》んだか薩張《さっぱり》解らない」
 新「羽生村の惣右衞門|様《さん》のお子で、惣吉|様《さん》といって七歳《なゝつ》か八歳《やッつ》だったろう」
 賤「おやあの惣吉|様《さま》」
 新「此の鎌は三藏どんから出たのだが、汝《てめえ》のめ/\と知らずに居やアがる」
 と云いながら突然《いきなり》お賤の髻《たぶさ》を捉《と》って引倒す。
 賤「あれー、お前何をするんだ」
 というも構わず手元へ引寄せ、お賤の咽喉《のどぶえ》へ鎌を当てプツリと刺し貫きましたから堪《たま》りません、お賤は悲鳴を揚げて七顛八倒の苦しみ、宗觀と音助は恟《びっく》りし、
 音「お前《めえ》気でも違ったのか、怖《おっ》かねえ人だ、誰か来て呉れやー」
 と騒いで居る処へお熊比丘尼が帰って参り、此の体《てい》を見て同じく驚きまして、
 尼「お前は此間《こないだ》から様子が訝《おか》しいと思ってた、
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