という質屋があるとよ、其家《そこ》が死絶えて仕舞ったから、家は取毀《とりこわ》して仕舞ったのだ、すると己《おら》ア友達が羽生村に居て、此方《こっち》へ来たときに貰っただアが、汝《われ》使って見ねえか宜《よ》く切れるだが」
と云いながら差出す。
新「成程是は宜《い》い、切れそうだが大層古い鎌ですね」
と云いながら取り上げて見ると、柄《え》の処に山形に三の字の焼印がありまするから驚いて、
新「これは羽生村から出たのですと」
音「そうさ羽生村の三藏と云う人が持って居た鎌だ」
と云われた時、新吉は肝《きも》に応えて恟《びっく》り致し、草刈鎌を握り詰め、あゝ丁度今年で九ヶ年以前、累ヶ淵でおひさを此の鎌で殺し、続《つゞい》てお累は此の鎌で自殺し、廻り廻って今また我手へ此の鎌が来るとは、あゝ神仏《かみほとけ》が私《わし》の様な悪人をなに助けて置こうぞ、此の鎌で自殺しろと云わぬばかりの懲《こらし》めかあゝ恐ろしい事だと思い詰めて居りましたが、
新「お賤一寸|来《き》ねえ、お賤一寸来ねえ」
賤「あい、何《な》んだよ、今往くよ」
と此の頃|疎々《うと/\》しくされて居た新吉に呼ばれた事で
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