、再び油の様な汗を流して、暫くは草刈鎌を手に持ったなり黙然《もくねん》として居りました。
 音「あんた、どうしたアだ、塩梅《あんべえ》でも悪《わり》いか、酷《ひど》く顔色が善《よ》くねえぜ」
 新「ヘエ、なアに私はまだ種々《いろ/\》罪があって出家を遂《と》げ度《た》いと思って、此の庵室に参って居りまするが、此のお小僧さんの様に年もいかないで出家をなさるお方を見ると、本当に羨ましくなって成りませんから、私も早く出家になろうと思って、尼さんに頼んでも、まだ罪障《つみ》が有ると見えて出家にさせて呉れませんから、斯《こ》う遣って毎日無縁の墓を掃除すると功徳になると思って居りまするが、今日は陽気の為か苦患《くげん》でございまして、酷く気色が悪いようで」
 音「お前さんの鎌は甚《えら》く錆びて居やすね、研《と》げねえのかえ」
 新「まだ研ぎようを本当に知りませんが、此間《こないだ》お百姓が来た時聞いて教わったばかりでまだ研がないので」
 音「己《おら》ア一つ鎌をもうけたが、是を見な、古い鎌だが鍛《きてえ》が宜《い》いと見えて、研げば研ぐ程よく切れるだ、全体《ぜんてえ》此の鎌はね惣吉どんの村に三藏
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