出来ましょう」
 と優しくいわれるだけ身に応えまする。ちょうど七月二十一日の事でございまする、新吉は表の草を刈って居り、お賤は台所で働いて居りまする処へ這入って参りましたのは、十二三になる可愛らしい白色《いろじろ》なお小僧さんで、名を宗觀と申して観音寺に居りまする、此の小坊主を案内して来ましたは音助《おとすけ》という寺男で、二人|連《づれ》で這入って参り、
 音「御免なせえ」
 新「おいでなさい、観音寺様でございまするか」
 音「上《かみ》の繁右衞門《しげえもん》殿《どん》の宅で二十三回忌の法事があるんで、己《おら》ア旦那様も往くんだが、何《ど》うか尼さんにもというので迎《むけ》えに参《めえ》ったのだ」
 新「今尼さんは他《わき》のお斎に招《よ》ばれて往ったから、帰ったらそう云いましょう」
 音「能く掃除仕やすねえ、墓の間の草ア取って、跨《まて》えで向うへ出ようとする時にゃアよく向脛《むこうずね》を打《ぶ》ッつけ、飛《とび》っ返《けえ》るように痛《いて》えもんだが、若《わけ》えに能く掃除しなさるのう」
 新「お小僧さんはお小さいに能く出家を成さいましたね、お幾歳《いくつ》でございまする
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