話をして聴かせると、新吉が身の毛のよだつ程驚きましたは、門番の勘藏の遺言に、お前は小日向服部坂上の深見新左衞門という御旗下の次男だが、生れると間もなくお家改易になったから、私が抱いて下谷大門町へ立退《たちの》いて育てたのだが、お家改易の時お熊という妾があって、其の腹へ出来たは女という事を物語ったが、そんなら七ヶ年|以来《このかた》夫婦の如く暮して来たお賤は、我が為には異腹《はらちがい》の妹《いもと》であったかと、総身《そうしん》から冷《つめた》い汗を流して、新吉が、あゝ悪い事をしたと真《しん》以《もっ》て改心致しました。人は三十歳位に成りませんければ、身の立たないものでございまする。お賤は二十八、新吉は三十になり、悪い事は悉《こと/″\》く仕尽した奴だけあって、善にも早く立帰りまして、出家を遂《と》げ、尼さまの弟子と思って下さい、夫婦の縁は是限りと思って呉れお賤|汝《てめえ》も能く考えて見ろ、今までの悪業《あくごう》の罪障消滅《つみほろぼ》しの為に頭を剃りこぼって、何《ど》の様な辛苦修行でもし、カン/\坊主に成って今迄の罪を滅《ほろぼ》さなくっちゃア往《い》く処へも往かれねえから、己の
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