更外に仕方がないからよ」
賤「なんだね厭だよ、そんな事が出来るものか」
新「そう側へ寄って呉れるなよ、どうか私の頭髪《あたま》を剃《す》って下さい」
尼「まア/\三四日|此寺《こゝ》に泊っておいでなさい、又心の変るものだから、互に喧嘩をしないで、私はお経をあげに往ってくるから、少し待っておいでなさい」
新「私も一緒に参りましょう」
賤「おい新吉さんお前本当にどうしたんだえ、私は何《ど》うしてもお前の傍《そば》は離れないよ」
新吉はもう誠に仏心《ぶっしん》と成りまして、
新「お前はまだ色気の有る人間だ、己は真《しん》に改心する気に成った」
賤「本当にお前どうしたんだよ」
と云いながら取り縋《すが》るのを、新吉は突放《つきはな》し、
新「此ん畜生奴、己の側へ来ると蹴飛すぞ」
といわれお賤は腹の中にて、私の顔貌《かおかたち》が斯《こ》んなに成ったものだから捨てゝ逃げるのだと思うから油断を致しませんで、此寺《こゝ》に四五日居りまする中《うち》に、因果のむくいは恐ろしいもので、惣右衞門の忰惣吉が此の庵室を尋ねて参るという処から、新吉はもう耐《こら》え兼ねて、草苅鎌を以て自殺
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