よしなさい、だが私もね、お前と二人で悪い事を仕度《した》くもないが、喰い方に困るものだから一緒にしたが、昨日《きのう》私が斯《こ》んな怪我をして、恐ろしい顔になったもんだから、他《ほか》の女と乗り替える了簡で、旨くごまかして、私を此寺《こゝ》へ押附《おっつ》け、お前はそんな事をいって逃げる心だろう」
新「決してそういう訳じゃアないが、お前《まえ》どうして女に生れたんだなア」
賤「何を無理な事をいうの、女に生れたって、気違じみ切って居るよ」
新「お前に口を利かれても総毛立つよ」
尼「喧嘩をしてはいけません、私もお賤の為には親だから死水《しにみず》を取って貰い度《た》いが親子でありながらそうも云われず、又お賤も私の死水を取る気はありますまい」
新「まだ此のお賤は色気がある、此畜生奴《こんちきしょうめ》、本当にお前や己は、尻尾《しっぽ》が生えて四つん這になって椀《わん》の中へ面ア突込《つっこ》んで、肴《さかな》の骨でもかじる様な因果に二人とも生れたのだから、お賤|手前《てめえ》も本当にお経でも覚えて、観音さまへ其の身の罪を詫る為に尼に成り、衣を着て、一文ずつ貰って歩く気になんな、今
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