思わない、己を改心させてくれた導きの師匠と思い、此のお比丘さんに事《つか》えて、生涯出家を遂《と》げる心に成ったから、もう己を亭主と思って呉れるな、己もまたお前を女房とは思わねえから、何卒《どうか》そう思って呉れ」
 賤「おい何をいうんだ、極りを云ってるよ、話を聞いた時には一図に悪い事をしたと思うが、少し経《た》つと直《じき》に忘れて仕舞うもの、一寸精進をしても、七日仕ようと思っても三日も経つともう宜かろうと喰《た》べるのが当前《あたりまえ》じゃアないか」
 新「今迄の魂の汚《よご》れたのを悉皆《すっかり》洗って本心になったのだから、もう己の傍《そば》へ寄って呉れるな」
 賤「おや新吉さん何をいうのだよお前どうしたんだえ」
 新「お前《めえ》はまア本当に………どうして羽生村なんぞへ来たんだなア」
 賤「新吉さん、お前《まえ》何をいうのだ、来たって、あゝいう訳で来たんじゃアないか、それが何《ど》うしたんだえ」
 新「お前《めえ》は何も解らねえのだ、アヽ厭《いや》だ、ふつ/\厭だ、どうぞ後生だから己の側へ寄ってくんなさんな」
 といわれてお賤は少しムッとした顔付になり、
 賤「あゝ厭ならお
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