も若い時分にした悪事を考えますと身の毛がよだちますよ」
尼「お前さん何をいうのです、若い時分などと云ってまだ若い盛りじゃアないか、是から罪を作らん様にするのだ」
新「お母様《っかさん》、私《わたし》は真《しん》以《もっ》て改心して見ると生きては居られない程辛いから、私を貴方の弟子にして下さいな、外《ほか》に往き処《どこ》もないから、お前|様《さん》の側へ置いて下されば、本堂や墓場の掃除でもして罪滅しをして一生を送り度《た》いので、段々のお話で私は悉皆《すっかり》精神《たましい》を洗い、誠の人になりましたから、どうか私をお弟子にして下さいまし」
尼「よくね、私の懴悔話を聞いて、一図《いちず》にアヽ悪い事をしたと云って、お前さんのような事を仰しゃるお方も有りますが、其の心持が永く続かないものですから、そんな事を云わなくっても、只アヽ悪い事をしたと思えば、其所《そこ》が善いので」
新「お賤、お前とは不思義の悪縁と知らず、是まで夫婦になって居たけれ共、表向盃をしたという訳でもないから、夫婦の縁も今日限りとし、己は頭髪《あたま》を剃《す》って、お前のお母《っか》さんだが、己はお母さんとは
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