附けてあり、坊さんが畠から切って来たものか黄菊《きぎく》に草花が上《あが》って居ります、すると鼠の単物《ひとえもの》を着、腰衣《こしごろも》を着けた六十近い尼が御燈明《おとうみょう》を点《つ》けに参りましたから、
 新「少々お願いがございますが、私共《わたくしども》は旅のもので此の通りの雨で難渋致しますが、どうか少々の間|雨止《あまやみ》を仕度《した》いと存じますが、お邪魔でも此の軒下を拝借願い度《た》いものでございまする」
 尼「はい、御参詣のお方でございますかえ」
 新「いえ通り掛りの者ですが、此の雨に降りこめられました、尤《もっと》も有験《あらたか》な観音様だと聞いておりますからお参りもする積りでございまする」
 尼「吹掛《ふっか》け降《ぶ》りですから其処《そこ》に立ってお出でゞは嘸《さぞ》お困りでございましょう、すぐ前に井戸もありまするから足を洗って此方《こちら》へ上《あが》って、お茶でも飲みながら雨止をなすっていらっしゃいまし」
 新「有難う存じます、えお賤、金か何か遣れば宜《い》いから上《あが》んねえ、じゃア御免なさい、誠に有難う存じます」
 尼「其処《そこ》に盥《たらい》
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