戯けるな、放せ」
 作「なんだ、人を欺《だま》して、金え出せよう」
 新「遣るから待てよ、遣るというに、お賤、その柳行李《やなぎごり》の中に少し許《ばか》り金が這入《へえ》ってるから出して作藏に遣んな、三藏の懐には無《ね》えんだから沢山《たんと》は遣れねえ、十両ばかり遣ろう」
 と気休めをいいながら隙《すき》を覘《ねら》ってどんと作藏の腰を突くと、どぶりと用水へ落ちましたが、がば/″\と直《すぐ》に上《あが》って参りまする処を見て、ずーんと脳を割附《わりつ》けると、アッ、といってがば/″\と沈みましたが、又這上りながら、
 作「斬りやアがったなア此の野郎」
 と云う声がりーんと谺《こだま》がして川に響きました。尚《なお》も這上ろうとする処を、また一つ突きましたから、仰むけにひっくりかえりましたが、又這上って来るのを無暗《むやみ》に斬り附けましたから、馬方の作藏は是迄の悪事の報いにや遂《つい》に息が止ったと見え、其の儘土手の草を攫《つか》んだなり川の中へのめり込んで仕舞いました。
 賤「お前まア恐ろしい酷《ひど》い事をするねえ」
 新「此の野郎はお饒舌《しゃべり》をする奴だから、罪な様だ
前へ 次へ
全520ページ中467ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング