も余程|草臥《くたび》れたが、馬へ乗って少し息を吐《つ》いたが、馬へ乗ると又|矢張《やっぱり》腰が痛いのう」
 作「旦那誠に御無心だが、私《わし》はね、少し用があるのを忘れて居たが、実は此の先へ往って炭俵を六俵積んで来て呉れと頼まれてるんだが、どうしても積んで往《い》かねばなんねえ事があるだ、誠にお気の毒だが此処《こゝ》で下りて下せえな、もう此処から先は平《たいら》な道だから歩いても造作ねえんですが」
 三「それじゃア何《どう》でもいゝ汝《てめえ》が困るなら下りて歩いて往こう」
 と云いながら馬から下りる。
 作「私《わし》は少し急ぎますから御免なせえ」
 と大急ぎで横道の林の蔭へ馬を引込《ひきこ》みました。

        八十五

 日はどっぷりと暮れ、往来も止《とま》りますと、戸ヶ崎の小僧弁天堂の裏手の草の茂みからごそ/\と葦《あし》を分けながら出て来た新吉は、ものをもいわず突然《いきなり》與助の腰を突きましたから堪《たま》りません、與助は翻筋斗《もんどり》を打って、利根の枝川へどぶんと水音高く逆《さか》とんぼうを打って投げ込まれましたから、アッといって三藏が驚いている後《うし
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