てるよ、昔馴染に、小遣《こづけえ》を少しばかりおくんなさえな」
安「そんなら汝《てまえ》は風来で遊んでるのか」
作「遊人《あそびにん》という訳でもねえが、馬を引いてるから、賭博を打《ぶ》って歩く事も出来ねえのさ」
安「少し汝《てまえ》に話があるから婆アを烟草でも買いに遣ってくれねえか」
作「はア宜《よ》うごぜえやす、婆《ばア》さま、旦那さま烟草買ってくんろと仰しゃるから買って来て上げなよ、此の旦那は好《いゝ》んでなけりゃア気に入るめえ、唯の方ではねえ安田一角先生てえ」
安「これ/\」
作「はア宜うござえやす、立派な先生だから悪《わり》い烟草なんぞア呑まねえから、大急ぎで好《いゝ》のを買って来《き》なせえ……あんた銭有りますかえ」
安「さ、これを」
作「サ婆さま是で買って来て上げな」
安「使い賃は遣るよ」
婆「はい畏《かしこま》りました、直《じき》にいって参《まえ》りまする」
と婆《ばあ》さんは使賃という事を聞いて悦んで、烟草を買いに出て参りました。後《あと》は両人|差向《さしむかい》で、
安「汝《てまえ》馬を引いてるのが幸いだ、己は木卸《きおろし》へ上《あが》る
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