しねえが只黙って使ったのだというと、此の泥坊野郎と云うから私が合点《がってん》しねえ、泥坊とは何《な》んだ、何《ど》ういう理窟で人の事を泥坊と云うのだ、只|汝《われ》が金え出して使ったばかりで、黙って人の物を出して使ったって泥坊と云う理合《りあい》が何処《どこ》に在《あ》るかと、喧嘩をおっ始《ぱじ》めたというわけさ」
安「矢張《やはり》泥坊の様だな」
八十三
馬「親分のいうには、泥坊に違《ちげ》えねえとッて己の頭ア打擲《ぶんなぐ》って、汝《われ》の様な解らねえものアねえと、親分まで共に己に泥坊の名を附けただが、盗んだじゃアねえ只無断で使ったものを泥坊なんぞという様な気の利かねえ親分じゃ仕様がねえと思って、おッ奔《ぱし》って了《しま》ったが仕様がねえから今じゃア馬小屋見てえな家《うち》を持って、こう遣って、馬子になって僅《わずか》な飲代《のみしろ》を取って歩いてるんだが、ほんの命を繋《つな》いでるばかりで仕様がねえのさ、賭博打の仲間へ這入る事も出来ねえから、只もう馬と首引《くびっぴ》きだ、馬ばかり引いてるから脊骨へないら[#「ないら」に傍点]が起《おこ》るかと思っ
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