五助街道の間道に、藤ヶ谷《ふじがや》という処の明神山《みょうじんやま》に当時隠れているんだ」
作「へー、あの巨大《でっけ》え森のある明神さまの、彼処《あすこ》に隠れているのかえ、人の往来《おうれえ》もねえ位《くれえ》の処《とこ》だから定めて不自由だんべえ、彼処は生街道《なまかいどう》てえので、松戸へ通《つ》ン抜けるに余程|近《ちけ》えから、夏になると魚ア車に打積《ぶッつ》んで少しは人も通るが何《なん》だってあんな処に居るんだえ」
安「それには少し訳があるのだ、己も横曾根にいられんで当地へ出たのだ」
馬「何《なん》だか名主の惣次郎を先生が打斬《ぶっきっ》たてえ噂があるが、えゝ先生の事《こっ》たから随分やり兼《かね》ねえ、殺《や》ったんべえ此の横着もの奴《め》、そんな噂がたって居難《いづら》くなったもんだからおっ走《ぱし》って来たんだろう」
安「そんな事はねえが武士《さむらい》の果は外に致方《いたしかた》もなく、旨い酒も飲めないから、どうせ永い浮世に短い命、斬り取《ど》り強盗は武士《ぶし》の習《ならい》だ、今じゃア十四五人も手下が出来て、生街道に隠れていて追剥《おいはぎ》をしている
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