》に人が居るのではないか、暗くって見えはせん提灯《ちょうちん》出しな」
 と提灯を引ったくって和尚様が来て見ると、縊《くび》り殺された母に縋《すが》り付いて泣いて居る。
 和「どういう訳か」
 と聞くと泣いてばかり居て頓《とん》と分りません。漸《ようや》くだまして聞くと是れ/\という。
 和「飛んだ事だ」
 と直《すぐ》に供の男を走らして村方へ知らせますと、百姓が二三人来て死骸と共に惣吉を藤心村の観音寺へ連れて来て、段々聞くと、便《たよ》る処もない実に哀れの身の上でありますから、
 和「誠に因縁の悪いので、親の菩提の為、私《わし》が丹精して遣るから、仇《かたき》を討つなぞということは思わぬが宜《い》い、私の弟子になって、母親や兄《あに》さんの為に追善供養を吊うが宜い」
 と此の和尚が丹精して漸《ようや》く弟子となり、頭を剃《そ》りこぼち、惣吉が宗觀《そうかん》と名を替えて観音寺に居る処から、はからずも敵《かたき》の様子が知れると云うお長いお話。一寸一息吐きまして。

        八十二

 扨《さて》一席申上げます、久しく休み居りました累ヶ淵のお話は、私《わたくし》も昨冬《さくふゆ
前へ 次へ
全520ページ中444ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング