お帰り」
 と云われ心細いから惣吉は帰って観音堂へ駈上《かけあが》って見ると情ないかな母親は、咽喉《のど》を二巻《ふたまき》程丸ぐけで括《くゝ》られて、虚空を掴んで死んで居る。脊負《せお》った物も亦《また》母が持って居た多分の金も引浚《ひきさら》って彼《か》の尼が逃げました。
 惣「アヽお母様《っかさま》、何《ど》うして絞殺《しめころ》されたかねえ」
 と頸《くび》に縛り付けてある丸ぐけを慄《ふる》えながら解いて居る処へ、通り掛った者は、藤心村《ふじごゝろむら》の観音寺の和尚|道恩《どうおん》と申しまして年とって居りますが、村方では用いられる和尚様、隣村に法事があって男を一人連れて帰りがけ、
 和尚「急がんじゃアいかん」
 男「何《なん》だかヒイ/\という声が聞える様に思うだ」
 和「ヒイ/\と」
 男「怖《おっ》かねえと思って、此処《こゝ》はね化物が出る処《とこ》だからねえ」
 和「化物なぞは出やせん」
 男「けれども原中でヒイ/\という声が訝《おか》しかんべえ」
 和「何も出やアしない」
 男「あれ冗談じゃアねえ、だん/\、あれ/\」
 和「彼《あ》れは観音様のお堂だ、彼処《あすこ
前へ 次へ
全520ページ中443ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング