も長くなりましたが、墓場に香花を沢山あげて、
花車「あゝお隅様情ない事になった、敵《かたき》を打つなれば私《わし》に一言《ひとこと》話をして呉れゝばお前|様《さん》にこんな難儀もさせまいに、今いうは愚痴だが、だが能くお前が死んで呉れた許《ばか》りで敵は安田一角という事が分りましたから、惣吉様に助太刀して屹度《きっと》花車がお前|様《さん》の恨《うらみ》を晴します、アヽ入違いになり上総の東金へ行《ゆ》きなすったか、嘸《さぞ》情ない事だと思いなすったろうが、私はこれから跡追掛てお目に掛り、何処《どこ》に隠れ住《すま》うとも草を分けても引摺り出して屹度敵を討たせますから」
と活《いき》ている者に物をいう様に分らぬ事を繰返し大きに遅れたと帰ろうとすると、ばら/\降出して来て、他《ほか》に行《ゆ》く処もないから水街道の麹屋へ行《ゆ》こうとすると、和尚様は
「少し破れてはいるがこれをさして、穿きにくかろうがこの下駄を」
というので下駄と傘を借りて、これから近道を杉山の間の処からなだれを通って、田を廻ってこう東の方へ付いて行《ゆ》くと、大きな庚申塚が建てゝ在《あ》って、うしろには赤松がこう四五
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