われ》其所《こゝ》に立っているから皆《みんな》立っていべえじゃアねえか、汝から先《さ》き帰《けえ》ろというに」
 多「おれだけは戸頭まで送る」
 母「送らねえでも宜《え》えてえに」
 多「送らねえでも宜えたって、村の者《もん》と己とは違う、己はあんた十四の時から側にいるので、何所《どこ》まで送っても村の者《もの》は兎や角云う気遣《きづけえ》ねえから送り申しますよ」
 母「あゝいう馬鹿野郎だもの、汝《われ》が送ると云えば皆《みんな》が送ると云うから汝|帰《けえ》れてえに、昨宵《ゆうべ》いったこと分らなえか」
 多「ヘエ、じゃア御機嫌よく行っておいでなせえ、惣吉様道中でお母様《っかさま》に世話やかしてはいけませんよ、今までは草臥《くたび》れゝば多助が負《おぶ》って上げたが、もう負って上げる者《もん》はねえよ、エヽ気の毒でもあんた歩いてまいらなえばならんだ、永旅だから我儘してお母様に心配《しんぺえ》かけてはなりませんよ、大事《でえじ》に行っておいでなさえましよ」
 惣「うーん、大丈夫だよ、多助も丈夫で」
 多「こんな別れの辛い事《こた》ア今迄ねえね」
 母「別れエ辛《つれ》えたッておっ死《ち
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