うじん》が、十歳になる惣吉という子供の手を曳いて敵討《かたきうち》の旅立でありますから、村方一同も止める事も出来ず、名残を惜んでおります、皆小前の者がぞろ/\と大勢川端まで送って参ります。
母「さア作右衞門さんこれで別れましょうよ、何処《どこ》まで送っても同じ事《こッ》たからこれで」
作「だけんども船へ乗るまで送り申し度《て》いと皆こういっている」
母「だけんども却《けえ》って船に私《わし》乗っかって、皆《みんな》が土手の処にいかい事皆が立っていると、私快くねえ、名残惜くって皆が昨宵《ゆうべ》から止められるのでね、誠に立度《たちた》くござえませんよ、何卒《どうぞ》お前が差図《さしず》して帰しておくんなさいましよ」
作「はい、それじゃア皆《みん》な是《こ》れにてお別れとしましょうよ、えゝ送れば送られる程御新造は心持い悪いてえからよう」
村方の者「左様ならまア随分お大事に」
村方の者「左様ならハアお大事《でえじ》に」
村方の者「左様ならお大事《でえじ》に、早くお帰りなさいましよ」
作「何卒《どうぞ》早くお帰《けえ》りをお待ち申しますよ」
母「さアよ多助どうしたもんだ、汝《
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