良くなえが丹精して捻《より》をかけて織らした紬縞で、ちょく/\阿弥陀様へお参《めえ》りに往ったり寺参《てらめえ》りに着て往った着物だから、是を汝がに呉れるから仕立直して時々出して着るが好《え》え、三日でも旅という譬《たと》えがあるが、子供を連れて年寄が敵討《かたきぶち》に行くだから、一角の行方が知んなえば何時《いつ》帰《けえ》って来るか知んなえ、長《なげ》え旅で死ななえともいわれなえ、是ア己が形見だから、己が無《な》え後《のち》も時々これを着て己がに逢う心持で永く着てくんろ、よ」
多「はい、私《わし》戸頭まで送るばいと思ったに…どうも是《こ》れいりません…形見……形見なんて心細《こゝろぼせ》えこといわずにの、あんたも惣吉さんも達者で帰《けえ》って、もう一度名主役を惣吉さんが勤めなえば私の顔が立ちませんから、どうか達者で帰《けえ》っておくんなさえよ、惣吉さん今迄とア違うから、母様《かゝさま》に世話ア焼《やか》せねえ様に、母様ア大事《でえじ》にしなえばなんねえよ、惣吉さん、好《い》いかえ、今迄の様なだだ[#「だだ」に傍点]いっちゃアなりませんよ、いゝかえ、どうか私は戸頭まで」
母「送ら
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