と思いまするが、何しろ年を取った母と子供の惣吉|許《ばか》りでございますから、関取を頼んでと、もう名主役も勤まりませんから、作右衞門という人に名主役を預けて置き、花車重吉が上総の東金《とうがね》の角力に往ったということを聞きましたから、直《すぐ》に其所《そこ》に行《ゆ》こうというので旅立の支度を致し、永く羽生村の名主を致して居りましたから金は随分ござります、これを胴巻に入れたり、襦袢《じゅばん》の襟に縫附けたり、種々《いろ/\》に致して旅の用意を致します、其の内に荷拵《にごしら》えが出来ると、これを作右衞門の蔵へ運んで預けると云う訳で、只今まで名主を勤めて盛んであったのが、ぱったり火の消えた様でござります。

        七十八

 母「多助や」
 多「ヘエ」
 母「作右衞門が処《とけ》え行って来たかい」
 多「ヘエ行って参《めえ》りました、蔵の方にゃ預かる者があるから心配《しんぺい》しなえが好《え》え、何時《いつ》でも帰《けえ》ったら直ぐに出すばいて、蔵の下は湿《しけ》るから湿なえ高《たけ》え処《とこ》に上げて置くばいといってね、作右衞門どんも旧来《きゅうれえ》の馴染ではア何《
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