《あけがた》になってお隅がいない処から家中《うちじゅう》捜しても居ない、六畳の小間が血だらけになっているから掻巻を撥《はね》ると、富五郎が非業な死に様《よう》、傍《わき》の処に書置が二通あって、これにお隅の名が書いてあるから、亭主は驚きまして、直《すぐ》に是を開いて読んで見ると、富五郎の白状に依《よ》って夫の敵は一角と定まり、女ながらも富五郎は容易《たやす》く仕止めたから、直に一角の隠れ家交遊庵へ踏込《ふんご》んで、首尾よく往《い》けば立帰って参りますが、女の細腕、若《も》し返り討になりました時は、羽生村へ話をして此の書置を遣り、又関取へもお便りなすって、惣吉成人の後《のち》関取を頼んで旦那と私の敵を討たして下さい、証拠は富五郎の白状に依って手引をした者は富五郎、斬った者は一角と定まりました、夫故《それゆえ》に今晩交遊庵に忍び入ります、永々《なが/\》お世話様になりました、有難い。という重ね/″\の礼まで書残してあるから、それッというので、麹屋の亭主は大勢の人を頼んで恐々《こわ/″\》ながら交遊庵に参ったのは丁度|夜《よ》の暁方《あけがた》、参って見ると戸が半ば明いて居ります、何事か分
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