ますから其れを掛けてもいゝので、へえ有難う」
 隅「さア仰向におなり、よく掛けて上げるから」
 貞「是は恐れ入ります、へえ恐れ入ります、御新造に掛けて戴いて勿体至極もない」
 隅「さ、掛けますよ、寒いから額まですっかり掛けますよ、そう見たり何かすると間が悪いわね、さ、襟の処《とこ》を」
 貞「あゝ有難う」
 隅「どうも重たいねえ」
 貞「へえ有難う暖《あった》かでげす」
 隅「何《なん》だか寒そうだこと、何か重い物を裾《すそ》の方に押付《おっつ》けると暖《あった》かいから」
 というので台所を捜すと醤油樽がある、丁度|昨日《さくじつ》取ったばかりの重いやつを提《さ》げて来て裾の方に載せ、沢庵石と石の七輪を掻巻《かいまき》の袖に載せると、
 貞「アヽ有難う、大層|暖《あった》かで、些《ちっ》と重たいくらいでげす」
 といったが是は成程重たい訳、石の七輪や沢庵石や醤油樽が載っておりますから、当人は押付《おしつ》けられる様な心持。
 貞「へえ有難う、暖《あった》かでげす」
 といったぎりぐう/\と好《よ》い心持に寝付きました。

        七十七

 お隅はそっと奥の様子を見ると、一角
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