云いましたが、よく/\考えてみた処が、貴方が屹度《きっと》殺したということが分りもしない、こんな的《あて》もないのに敵を討つといったっても仕方がない訳だから、寧《いっ》そ敵討《かたきうち》という事は止《や》めてしまおう、それにしては何時《いつ》までもべん/\としてもいられませんから、思い切って暇を貰って出たのでございますから、もう今になれば些《ちっ》ともそんな心は有りゃアしません、ねえ、貞藏さん」
貞「成程|是《こ》りゃア本当でげしょう、先生は人を殺す様な方でないし、只お前さんへ執心が有った処から角力取と喧嘩、ありゃア一体角力の方がいけないよ、変に力が有ってねえ、あれだけは先生|甚《ひど》く野暮《やぼ》になりますな」
安「詰らん疑念を受けて飛んだ災難と思ったが、此方《こっち》に居ては面倒だから暫く常陸へ行って居たんだが、手前全くか」
隅「本当でございますから疑りを晴《はら》して一献《ひとつ》戴きましょう」
安「手前飲めるか」
隅「はい、何《なん》だか寒くっていけません、跣足《はだし》で雪の中を駈けて来たもんですから、足が氷の様になっていますもの」
安「うーん中々飲める様にな
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